遺伝子検査って?

とっても身近になった遺伝子検査ですが、少し難しい印象をお持ちの方も多いはず。
どんな方法で、どんな手順で、どんなことが分かるのか。
遺伝子検査の基本を、順を追って説明します。

▶︎遺伝子検査とは?

遺伝子検査とは、DNA内にある遺伝子を解析し、遺伝性の病気や、体質または病気のリスク等の遺伝的傾向をシルための検査です。

主な方法としては、個人の細胞を採取し、その中のDNA内にある塩基(A,T,C,G)の順序を調べます。
遺伝子って?」でまとめたように、この塩基配列はヒトの設計図であるため、遺伝子検査により個人の様々な形質をシルことができます。従来は血液を使用することが一般的でしたが、近年は唾液や口内の粘膜により手軽に検査できるようになりました。

遺伝子検査とは2003年にヒトゲノム計画が完成し、すべての塩基配列が明らかになりました。
しかし、「それらの役割がどのように作用し、どのような役割を果たすのか」という問題はほとんど解明されていません。
このようにまだまだ研究途中であることから、遺伝子検査の精度は100%正確とは言い切れないのが現状です。

遺伝子検査を受けることは、自らの体質を理解しあらゆる病気予防や健康維持に有用であると言えますが、これらのことを考慮し注意して利用することが大切です。

▶︎遺伝子検査の種類

一口に遺伝子検査と言っても、その種類はさまざまであり、方法によって応用分野や精度も異なります。
ここでは、遺伝子検査の4種類について説明します。

①染色体検査
古くから行われているのが、この「染色体検査」です。
私たちの細胞の核内には46本の染色体(22対の常染色体と2本の性染色体)が存在しています。
これらは両親から23本ずつ受け継いだものであり、この染色体の数と形を調べる検査です。

染色体検査
この検査は主に出生前診断等で行われ、胎児の健康状態の異常を事前に調べることができます。

②PCR法(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)
PCR法は、特定の遺伝子を酵素反応で増やす方法です。
遺伝子本体は非常に小さく、さらに僅かしか存在しないため、この方法で遺伝子を増幅させることにより、定量的に調べることができます。1時間程度で1000万倍にまで増やすことも可能です。

PCR法
この検査方法は、主に結核やHIV、淋病といった感染症を診断する際に用いられます。

③シーケンサー(遺伝子配列決定装置)法
ヒトが持つすべての塩基配列を解読する「シーケンサー」という装置で調べる方法です。
全遺伝子情報を調べることができるため精度が比較的高く、医療機関等で受けることができます。
2014年5月に、米女優のアンジェリーナ・ジョリー氏が乳房切除を決断したのも、このシーケンサー法がきっかけです。シークエンサー

かつては、1人分の検査に13年の歳月と約3000億円もの費用を要しましたが、近年急激に進化し、短時間かつ低コストでの検査が可能になりました。
それでも費用は数十万円程度かかるため、手軽とは言えません。

④SNP(一塩基多型)検査
ヒトの遺伝子の個人差であるSNPを調べるのが、SNP検査です。
遺伝子って?」でも述べたように、個人の違いはわずか0.1%の変異(SNP)で決まります。
SNPは3パターン存在し、父母から受け継いだ2本の染色体のうち、⑴両方変異していない、⑵片方変異している、⑶両方変異している、というパターンに分けられます。このパターンを調べることにより、病気のリスクや体質等の特徴がわかります。SNP法これは、DNAマイクロアレイという装置により検査されます。近年の進化により一度に100人程度の検体を全自動で分析できるようになったため、コストが大幅に低下しました。検査費用も1万円〜3万円程度と比較的安価であり、さらに自宅でも検査可能という大変手軽な検査方法です。
近年登場している多くの遺伝子検査は、このSNP検査を行っています。

▶︎遺伝子検査でわかること

先にも述べたように、遺伝子検査とは遺伝子を調べることで、生まれ持った病気のリスクや体質を知ることができる検査です。
遺伝子検査でわかることは、その種類によってさまざま。
自分自身の遺伝子をシルことは、未来の健康のために有効な方法だと考えられます。

①遺伝性疾患
遺伝性疾患とは、遺伝的要因が強く影響する病気です。染色体以上や遺伝子の変異が強く関係しており、ダウン症候群やターナー症候群、筋ジストロフィーなどが含まれます。また、家族性腫瘍とよばれる遺伝性乳がんや遺伝性大腸がんも、遺伝的要因を強く受ける疾患です。遺伝性疾患遺伝性疾患には、親からの遺伝により発症する場合と、突然変異により子供の染色体や遺伝子に異常が発生することにより発症する場合が有ります。
特に遺伝性のがんは、遺伝子検査をすることで早期発見や予防的処置のきっかけになるため、血縁者にがん患者がいる場合は一度検査をしてみることをお勧めします。

②多因子性疾患
多因子疾患とは、遺伝的要因と環境的要因の両方を受けて発症する病気です。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、胃がんや肺がん、肝臓がんといったがん、さらには心筋梗塞や花粉症、アトピー性皮膚炎等、多くの疾患はこの多因子性疾患です。多因子性喫煙や暴飲暴食、ストレス等の環境的要因はもちろん多因子性疾患の原因となりますが、遺伝的な発症リスクを併せ持つ場合はより発症しやすくなります。だからこそ、遺伝子検査により生まれ持った発症リスクを理解し、環境面に配慮し予防に努めることは、長く健康でいるために大変重要なことです。

③体質傾向
肌質や太りやすさ、長生き等の体質も、遺伝子検査で調べることができます。体質傾向太りやすさを理解して有効なダイエットを行ったり、肌老化のリスクを理解して美容に役立てたりと、自らの体質をシルことは健康や美容のために役立つと言えます。

祖先
ヒトは、細胞内に持っている「ミトコンドリアDNA」の多型により、ハプログループ(遺伝的なグループ)に分けることができます。
ミトコンドリアDNAは、祖母から母、母から子へと代々受け継がれるため、このDNAを調べることで「母系」の祖先を調べることができるのです。
祖先がどこでどのような生活をしていたのかを知ることができ、自分のルーツを辿ることができます。祖先その他、能力や血縁、薬剤反応も遺伝子検査で明らかにすることができます。


遺伝子は生まれ持ったものであり、決して変えることはできません。

特定の病気リスクが高かったとしても、その結果を受け入れるしかないのです。
しかし、その結果をもとに自らの生活を見直すことはできます。

遺伝子検査を受けることは、自分自身をよく知り、健康な未来をつくる第一歩であると言えます。

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